第十七回 ~積ん読~

年内最後の読書会のテーマは「積ん読」です。

年内に読めなかった本を持ち寄り、読めなかった本を振り返り、場合によってはお焚きあげをして悔いなく年を越える、という、とても前向きな会です。なぜ、その本は積ん読になったのか。積まれた本に対して何を感じるのか。どうすると脱・積ん読になるのか。今回は、日本発の概念とも言われる積ん読に迫ります。会場は、ふんずさんちことトウキョウジョウ

 

積ん読本の紹介 – Spherical Image – RICOH THETA

こみや
初めに僕から行くと、僕は実用書と小説の2冊持ってきました。天文検定の参考書である『新・宇宙を解く』と、平野啓一郎『決壊』。それぞれ、積みの最下層と最上層から持ってきたものです。
あなご
『新・宇宙を解く』はめちゃめちゃ難しそうだね。理学部入門レベルって書いてある。
こみや
そうなの。天文ファンの世界では天文検定ってのがあって、この本はその一級の参考書なんです。この本を買った時は、よし、その検定取るぞ、って気分だったんだろうね。
タイガ
積ん読になる本も、買った時は、それを読み終わった後の状態になりたかったんだ。
こみや
もう一冊の『決壊』は、平野啓一郎のTwitterを読んで、読みたいと思ったのかな。こちらはあと一歩で読みそうな、積みの最上層にありました。
あなご
私は積ん読を何冊か持ってきた。まずは小栗虫太郎『黒死館殺人事件』。買ったのは、ちょうど3年前くらい。その頃、『ドグラ・マグラ』とか、澁澤龍彦の本とか、ちょっと怖めの本にハマっていて、そういう本は通勤電車の中とかじゃなく、ちょっと集中して読みたいじゃない。その頃の本を久々に手に取って読んでみたら、読んだ記憶は全然ないのに、どの本にも、真ん中あたりに自分で挟んだと思われる栞が挟まってたの。なかなか読む機会がなくて、止まっちゃってたのかな。他には、ナブコフの『ロリータ』。先輩の美人国語教師が、中学生の頃にハマっていたと聞いて買ってみたの。でも、買ったはいいけど、もっと読みたい本が他に出てきちゃって、これは一文字も読んでいない。
KC&タイガ
早熟な美人国語教師…。
こみや
人からのおすすめって、積ん読要素として大きいのかな。
あなご
そうだね。でもその先生が、「積んでいるだけでも読んでることになるんだ。とにかく本は買うこと。」って言う説を述べていて、絶賛積んでいます。
KC
なんて都合の良い解釈なんだ。
ふんず
どんな作品も、売れないとなくなっちゃうからかな。
タイガ
これは僕の番が回ってきたら言おうと思ってたんですけど、僕が中学の時、芥川龍之介にハマっていた時期があったんです。で、通学の電車の中でカバーを掛けずに芥川龍之介を読んでいたら、知らないおじさんが話しかけてきて、最終的に「本は本棚に置いておくだけで価値があるからね。たくさん本を買いなさい。」って言ってくれたんです。それ以来、その考えは僕の中にあります。
あなご
私の本棚は、読み終わった本と、これから読む本で分かれてる。
こみや
トヨタ式だね。
タイガ
これから読む本棚、つまり読めてない本棚は、見たら罪悪感にかられない?
あなご
いや、楽しみでしかないよね。それにしばらく読んでいなくて、もう見たくない本は引き出しの中にしまっているし。最近、脱・積ん読した本は、ポール・オースター『ムーン・パレス』。…なんだけど、読み始めてから一回職場に置いてきちゃって、その間に別の本を読み始めたらまた積ん読になっちゃった。より面白い本が出てきたら積ん読になる。
みかこ
私の積ん読は、専門書『脳がわかれば心がわかるか』です。神楽坂の、ご飯を食べながら本を選べる、かもめブックスで見つけました。私、昔から心理系に興味があるんですけど、こんな立派な本買ったことがなくて…、こんなのリュックから飛び出してたら職場の人引いちゃうし…。
あなご
え、引かないよ。
みかこ
持ち歩くにも重いし…。
タカハシ
身体にフィットするリュックにすればいいよ。
みかこ
…いざ読もうとすると、体力がいるんです。
あなご
みかこちゃんの偉いところは、学術本を最初から最後まで全部読もうとするところなんです。
こみや
その話、前回の『読んでいない本について堂々と語る方法』で説明してたね。
KC
目次から読もう。目次を見ればその本の著者の力量がわかるよ。
一同
さすがKC、なんでもわかるんだね。

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ふんず
俺は知っての通り、本は読まず、漫画しか読まない。俺は「積ん読」じゃなく「置き読み」って呼んでるんですけど、俺の場合は『少年ジャンプ』です。毎週買っていて、あっちに200冊くらいたまってる。奥さんが片付けて、順番が無茶苦茶になっちゃったら、置き読みになっちゃうかなー。あと、ジャンプには色んな作品が入っていて、好きな作品から順に全部読んでいる。ピンときた作品は連続して読むし、あえて後から読む作品もある。だから、時間はかかるけど、最終的に全部読んでるな。
こみや
ジャンプが積ん読になる人って、そんなにいないんじゃない?だいたい読み捨てる感じだよね。
あなご
でも私、こないだまで家に『りぼん』あったよ。
タイガ
僕は一文字も読まない本って無いなぁと思って話を聞いてました。でも、一冊だけあって、それが『青春ロボット』です。これは知人の布教活動としてもらった本で、ディスカヴァー・トウェンティワンが文芸書にも手を出した、っていう位置付けの代物です。まずタイトルからして読む気が起きない。話は面白いと思うんですけど、全然気が乗らない。言葉自体が面白くないと、小説を読む意味はないっていう信念があるので。
あなご
もらったというか、押し付けられた本は、それは積ん読というか、ゴミじゃない?
タイガ
あともう一冊がロシア語の教科書です。僕にはたまに語学を勉強したい波が来ることがあるんですけど、この本は「はじめに」だけを読んで終わりました。文芸書ではアルゼンチンの作家であるセサル・アイラの本。これも面白いって言われて読み始めたんですが、僕には合わなくって半分くらいで断念しました。逆に、僕が面白かった本として、牧野信一の本があるんです。僕はもう一個読書会に参加していて、そっちの読書会で牧野信一を勧めたんですが、他のメンバーにはその面白さが全然伝わらなかった。それが結構悔しかったなぁ。今丁度読んでいるのは、今村夏子『こちらあみ子』。三島由紀夫賞を取った上に、町田康が解説を書いていて、それで手に取ったんです。作品を手に取るか否かって、作品そのものの内容よりも、その作品と自分との間にいる人とか、お金とか、そういう要素があるんじゃないでしょうか。
こみや
その結果、自分で手に取った本は一通り読むの?
タイガ
一文字も読まないことはないですね。貧乏性なので。
KC
その話題を引き継ぐけど、積ん読を買うか否かって、自分の家と本屋が近いかどうかってのもあるよね。近くに本屋があれば、いつでも欲しい本を買えるから、言わば本屋が自分の本棚の代わりになっているというか。そう、本屋が自分の本棚の代わりになっている。で、俺も、自分が買った本で、一文字も読んだことのない本って無いんだよね。俺もタイガくんと同じで、積ん読になったのは友達からもらっちゃった本。そんなわけで、僕の積ん読本はこれです。又吉の『火花』
一同
(どよめく)
KC
でも、今回持ってくる前に、間違って、読んじゃったんだよね。
一同
(どよめく)
KC
…我が家にNetflixが来たのをいいことに、『火花』のドラマを見始めたらそれが面白くて、一気観しちゃって、本も読み始めたらこれまた面白くて、頭から終わりまで2回も通しで読んできちゃいました。
タイガ
でも又吉って、めちゃめちゃ本読んでますよね。
あなご
私、高校生の時に又吉のブログを読んで、その影響で中村文則読み始めたんだよね。
KC
それは知らなかった。今、ドラマに飽き足らず、YouTubeで又吉の動画を見漁ってるところ。ただ『火花』のずるいところは、自伝的小説の一冊しか無いところだね。これと同じことは人生で一冊しかできないし、この本のやっていることは純粋な小説ではない。
あなご
だから又吉は色んな人から、2作目書けって言われてるよね。
タカハシ
僕の積ん読はミヒャエル・エンデ『はてしない物語』です。この本との最初の出会いは小学生の夏休み。僕のいた地域の学校図書館は、一度に一冊しか借りられないので、夏休みにはなるべく分厚い本を借りたかったんです。で、図書館の一番端っこで見つけたのが、このあかがね色の絹の装丁のこの本でした。ただその後、その時読んだ本が何の本だかわからなくて、ずっと探していたんです。なぜなら、僕が図書室で見つけた『はてしない物語』はあかがね色で、表紙に双頭の蛇が描いてあるハードカバー剥き出しなんですが、Amazonはじめ書店に置いてある本は外箱の装丁しか見えないからです。最近のある日、エンデのことをネットで調べていた際に、「もしかしたら俺が探していたのはこの本ではないか?」と思い当たり、買いました。
タイガ
『君の名は。』だね。
タカハシ
でも、ここまで語っといて、まだ読めてないんです。この本は読むならまとまった休みに集中して読みたいなと思って。新書とか実用書なら、通勤電車とかの細切れ時間にも読めるかもしれないんですが、小説はまとめて読みたいから、積ん読になりやすいかもしれないですね。

後日談

積ん読について語ったまさにその日にバズってた画像
積ん読について語ったまさにその日にバズってた画像

その後

会場となったギャラリイトウキョウジョウにて、美味しいたこ焼きパーティで忘年会しました。次回1月の課題図書は村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、次々回2月の課題図書はミヒャエル・エンデ『はてしない物語』に決まりました。良いお年を。

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