第七回 ~宮沢賢治著「銀河鉄道の夜」~

参加者(50音順):あなご、こみや、たかはし、つち、ふんず、みほこ

151107 持ち寄り本

銀河鉄道の夜いろいろ
Going Steadyの「銀河鉄道の夜」という歌がある。
谷川俊太郎の「20億光年の孤独」は銀河鉄道の夜のオマージュ。
登場人物が猫の映画。
KAGAYAのプラネタリウム作品。

なぜ銀河鉄道の夜は読まれるのか?

こみや:今回はつちさんの選書で宮沢賢治「銀河鉄道の夜」です。そもそも、なぜこの本はこんなに読まれるんだろう。
ふんず:銀河鉄道の夜を読むと、すごく懐かしい感覚になる。小学校の頃くらいの時代の、僕らの中に流れる原体験がよく描かれているんじゃないかな。あと、小学校で推薦図書に上げられていると、自然と大勢が読むよね。じゃあなんで子供に薦めるかって考えると、この話は身近な人や動物の死との向き合い方を教えてくれるからじゃないかな。
みほこ:この本は読むなら小学生ですね。それ以前は物語が漠然としすぎてて難しいんじゃないかな。
あなご:小学生の頃「死」って説明できないし、周りの大人もあんまり教えてくれない。そうなるとそのギャップはファンタジーで埋めるしか無い。そうすると、美しい話で埋めようとして、こうなるのかな。身近な人の死って観点だと、トシ(賢治の妹)の死の後に書かれてるんじゃないかな。うん、「永訣の朝」の後だから、やっぱりそうだ。
こみや:僕は今回この話に、そこまで入っていけなかった。同じ賢治の本だと「セロ弾きのゴーシュ」はゴーシュのサクセスストーリーとして面白く読めた。テーマに人の死との向き合い方があるのなら、それは僕がこれまで身近な人の死にほとんど遭遇してこなかったから、ってのもあるのかな。小さい頃に、死と向き合うような本を読んだとしても、読んだ時にはそれを自分事としてはわからない。大人になって本当にその経験を理解できるようになった時に、「ああ、あれはそういうことだったんだ」って思い出すものだけど、僕は思い出す経験がほとんどないのかも。辛い時にあんまりファンタジーに逃げた記憶もない。
あなご:え、私は未だにファンタジーに逃げるんだけど。
ふんず:ファンタジー要素だと、賢治作品は名前もいいよね。カンパネルラ、ゴーシュ、…又三郎は少し系統が違うけど。
タカハシ:どこかで読んだんですけど、「(純)文学」の定義は、どこから読んでも入っていける、っていうのがある。文学作品は三文小説と違って、説明ではなく情景描写が多いから。僕は銀河鉄道の夜は、情景描写が多いので、読み進めるのが大変でした。
あなご:華氏451の時に同じような議論があったね。あれは訳文が戯曲のようだから、言葉のリズムを楽しみながら読む、って言う読み方を、タカハシくんが新鮮に感じていたんだった。あと、随所に宗教観を表す描写も出てくる。東北の方はキリスト教が盛んだけど、賢治は独自の宗教観(法華経)をもっていたんだよね。
こみや:この場の人はみんな無宗教だということなので、もし宗教に思い入れがある人がいたら、僕らには無い視点の読み方もあるのかもね。
タカハシ:僕は顔大教(顔が大きい人は救われる)ですけどね。…「銀河鉄道」っていう概念って、これ以前にあったんですかね?「銀河鉄道999」は銀河鉄道の夜に影響を受けただいぶ後の作品だし、銀河鉄道のパイオニアでもあったんじゃないかな。あと、僕この作品は夢オチのパイオニアだと思いました。
あなご:そうかな?私この本に書かれていることは、全てジョバンニが実際に体験したことだと思った。

あなごと賢治

あなご:国語の先生の私がいうのもなんだけど、高校の国語の授業ってヒマじゃないですか。で、国語便覧を見て誰がイケメンか、っていうのを探すんだけど、私はダントツで宮沢賢治が好きだった。この素朴さがとてもいい。…イケメンは早世なんですよね。岩手にも、大学の時は毎年行っていた。震災後も岩手の移動図書館のボランティアに行った。宮沢賢治自身も大地震に遭っていて、その時の状況と震災後はよく似ている、って詩人の間で話題になっていて、じゃあ岩手だ、って。ボランティアでは同じような宮沢賢治好きが集っていた。賢治自身が「僕の各作品は、全部自然が教えてくれることの心象スケッチなんです」というように、岩手には賢治が書いている作品がそのまま残っている気がした。賢治作品は擬音語が独特だけど、岩手では本当に風が「ごうごう」と吹いていた。
つち:去年、わたしとふんずは、宮沢賢治資料館も含めて岩手に行ったんだけど、星もとても良く見えるし、この環境にいてこの作品を書いたんだっていうのがよくわかった。

あなご’s 萌えポイント

あなご:私の今回の萌えポイントは、カンパネルラで3箇所、ジョバンニで2箇所。

カンパネルラ萌え①…人気者で、ジョバンニも仲良くなりたいと思っている良い人カンパネルラが、「ぼくはおっかさんが、ほんたうに幸になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだらう。」って悩むとこ。え、出来杉君なのに、そんなことで悩んじゃうのカンパネルラ?可愛い。

カンパネルラ萌え②…ジョバンニが鳥捕りのおじさんから尋ねられるシーン。「あなたはどちらまでいくんです。」「どこまででもいくんです。」「それはいいね。この汽車は実際、どこまででも行きますからね。」「あなたはどこへいくんです」←カンパネルラ喧嘩腰。これはジョバンニが鳥捕りから色々聞かれてたじたじになったのをかばったからかもしれないけれど、よくわかんないシーンで喧嘩腰になるのカンパネルラが面白い。

カンパネルラ萌え③…「まぁ、あのカラス」カンパネルラの隣でカオルと呼ばれた女の子が言いました。「カラスでない、カササギだ。」とカンパネルラ。カンパネルラ、鳥に厳しい。

ジョバンニ萌え①…ジョバンニがカンパネルラに対して、鳥捕り師について語るシーン。「僕はあの人が邪魔なような気がしたんだ。だから僕は大変つらい」。この台詞、口に出して言っちゃう?

ジョバンニ萌え②…ジョバンニの心の声(こんな静かないいところで、僕はどうしてもっと愉快になれないだろう。どうしてこんなに一人寂しいのだろう。けれどもカンパネルラなんかあんまりひどい。僕と一緒に汽車に乗っていながらも、まるであんな女の子とばかり話しているのだもの。僕は本当に辛い。)やきもちやいてる。可愛い。

カンパネルラとジョバンニ(とザネリ)の関係性

タカハシ:僕もあの鳥捕りのおじさん、超好きです。
こみや:大体どれも男の子としては共感できるのだけど、ジョバンニ萌え②は特によくわかる。例えばとても仲の良い男友達が、俺の全然知らないそいつの一面を見せて、女の子と楽しそうにしゃべるのを目の当たりにした時。僕の中に湧いて来る気持ちはとてもはがゆい。ただ、その気持ちは表に出すわけにはいかない。俺だって女の子と喋れるもんね、っていうことを内心考えている。
タカハシ:超わかる。とても仲の良い男友達が結婚して、余興を頼まれた時はたまんなかったですね。2次会までは幸せな気持ちだったんですけど、別の男友達と3次会に行って、それはやさぐれましたね。俺たち大人になっちゃったなぁ、って。
あなご:男の子っていつも2人でいるイメージがある。私が好きになる男の子は、大体いつも2人でいる。その子の所に話しに行っても、私が好きな子の友達のよく喋る方が会話に入ってきて、お前じゃねぇよ、と。女の子と男の子で、なんで違うんだろう。
つち:女の子同士は割りきっちゃうからじゃないかな?
みほこ:男の子のそれは、嫉妬じゃないですか。
こみや:男の子の場合は、恋愛からくる嫉妬ではなく、単に仲の良い友人を失って、自分が寂しいだけなんだと思う。
タカハシ:仲の良い男同士って、シンクロ率高くて、何を考えているかわかるんです。僕が19の時に、仲の良い男友達が、僕らの共通の知人である女の子と付き合った時の話。僕とそいつの間では、その女の子と付き合うのは無いよね、っていう、彼と積み上げてきたわけのわからないロジックを共有していた。それを覆されて、裏切られた気分になりました。その後一月、毎日憂さ晴らしに酒飲んでました。…実はこの話には続きがあって、その友達と去年再会して、その2人が別れていたことを知ったんです。その時彼から、「あの時彼女と付き合ったことについては、お前に謝らなければならないと思っていた」って言われたっていう。彼自身も、彼女と付き合うことが僕達のロジックを覆すことは理解していたんです。
あなご:タカハシくん、超ジョバンニじゃん。彼はどんな友達だったの?
タカハシ:バンドメンバーでした。
あなご:バンドや劇団の仲間は、内面で語り合うからね。女同士は、会話で話し合う。私の仲の良い女友達に彼氏ができた時は、いつもその子と遊んでいる友達向けに説明会があったよ。「今後も、ちゃんとみんなと会うことを優先します。」って。
みほこ:女友達に彼氏ができた時って、あるべき姿にくっついた、って感じで、友人を取られた、とは思いませんね。

こみや:会話って観点だと、銀河鉄道の夜の、カンパネルラとジョバンニの会話って、流れていく風景をそのままつぶやくだけで、あんまり会話らしい会話はないんだよね。この話の主人公が、女の子2人だったらどうだろう。あんまり想像できないけど、少なくとも会話の内容はだいぶ変わったんじゃないかな。
あなご:車輪の下と同じように、この話は男2人じゃなきゃ成立しない。女の子2人が主人公の物語自体がほとんどないよね。女子2人でいたら、必ずどちらかが男役になると思う。私も実際に実際に旅に出るとしても、女の子と一緒なら2人じゃなくて3人かなぁ。3人だと、誰かが行き詰まった時に1人になることができる。
タカハシ:姉妹が主人公の話はありますけどね。男の方が内面的な繋がりを求める事が多いのは確かにそうですね。
こみや:それは内面的な自立ができてないことの表れでもあるわけだけど。
つち:反面、女の人は自立して楽しんでいる人が多い。
こみや:その分、30超えて一人でいる女の人って、スピリチュアル系に頼っちゃう人もいる。これはこれでファンタジーに頼っている一例ということで、話を銀河鉄道に戻そう。
あなご:今回はタカハシくんの話のおかげでだいぶ理解が深まった。萌えている場合じゃなかったな。彼らは銀河鉄道に乗っているっていうのが、内面の繋がりを表しているんだね。もともとジョバンニとカンパネルラは仲が良くて、その時もアイコンタクトでシンクロしている。それがさらにシンクロしたのが銀河鉄道に乗ったっていう経験。だから最後にジョバンニがカンパネルラのお父さんに、「さっきまで一緒にいた」と言いかけるシーンは、本当に一緒にいたんだ。
タカハシ:2人は内面で繋がっているからこそ、ジョバンニはこの話の後相当キツイであろうことは想像付く。そう考えると、この話を子供に推薦する意図は頷けますね。
あなご:銀河鉄道に乗っていたのがザネリだった可能性もあるわけだよね。だからジョバンニは確かにきついんだけど、内心、ザネリに対しては優越感があってもおかしくない。「ザネリ、君はカンパネルラに助けられた立場けれど、彼が本当に愛していたのは君じゃない。彼と最後につながっていたのは僕だからね。」っていう。 …こないだ授業で永訣の朝を扱ったんです。それを思い出しながら銀河鉄道の夜を読んだので、彼の考える「本当の幸せ」を考えながら読むことができました。

合宿振り返り
・KC朝弱い。
・時期も場所もよかった。
・合宿のしおりを読む時間をちゃんと取ればよかった。
・道が意外と混んでいた。時間読み甘かった。
・ビブリオバトルのルールを事前にもっとちゃんと知っていれば、もっと上手くやれた。
・山登り、想定より大変だった。事前のアナウンスをちゃんとするか、歩きやすい山を選ぶか。
・KC朝弱い。
・カレー旨かった。
・夜の野外ライブ良かった。みんな個人プレイなんだけど、各々楽しんでいた。
・風呂に入りながら歌ったのが良かった。
・メンバー全員揃った初の機会だった。

おまけ

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