第五回~ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」~

あなご …献血いったの?

こみや 親父が献血趣味なの。ここの献血スポットならこれが食べられる、みたいなのがあって。

KC ああ、スポットって腕に針を打つスポットじゃなくて?

タカハシ 腕のここでやって欲しいとか、笑

あさき KC君、献血行ったこと無いでしょ。笑

タカハシ でも献血いいっすよ。たまにいきます。水分取って無いとはじかれたりしますけど。そういえば前回は、読書会始める前に、旅行について、みたいな前置きがあったかと思うんですけど。

あなご それ、前々回かな。どうぞタカハシ君のお好きなように。

こみや たかはしペースで。

KC はじめたまえ。

タカハシ じゃぁ特に何もなく入りますね。笑 テーマが色々あるんですけど、特に話したいのが、このハンスとハイルナーくんの友情。

KC “友情”ね(両手の人差指と中指を折りつつ)。

タカハシ それなんですか?

あさき ダブルクオーテーション、「いわゆる」っていう意味。海外では有名。

あなご へえー。

タカハシ へぇー知らなかった。で、男の子同士の友情がこの話の大きいテーマの一つだと思うんですけど、その男同士の友情と女同士の友情に差異はあるのか、みたいなのが自分の中ではずっと大きいテーマなんですよね。そんなハンスとハイルナーみたいな、煮詰まっていく関係って、いままでありました?って聞くのはボクはあったからなんですけど。

あなご 私はあったかなぁ。女子校だから。

こみや 俺は男子校だったけど、煮詰まりかたって?

タカハシ 高校の頃いつも一緒にいた友達と、このままいったら結婚するなぁとか。癒着していく関係から外に行かないような。

こみや その時、その友達意外との関係性ってどうなの?

タカハシ 普通に良好だったんですけど、その子だけ特別だったんですよね。ハンスとハイルナーにそれを感じました。

あなご でも私未だにあるな。女子校時代の友達とか。将来的に一緒に住むかもなぁみたいな。最初出会ったときは宇宙人みたいな人だったけど、凄く仲良くなった時期あった。

こみや 俺は一人の人と凄く仲良くなるっていうのはどの年代でもなかったな。男子校時代も凄くからっとしてたし。何故かって言うと、それは深いこと語ってなかったからだと思うけど。

あなご ああ、語っちゃうとなるのかな。語っちゃうもん。アトリエで朝まで語るとか。語っちゃうとこうなるなぁ。

タカハシ 確かにハンスは語ってますよね。ハイルナーの愚痴につきあうみたいな。

こみや 愚痴って言うか、ほとばしる感情だよね。

あなご またこういうハイルナーみたいな人に魅力を感じちゃうのはよく分かる。私がハンスだったとして、自分の思想をこうして持ってる人が近くにいたら、ついて行っちゃうなぁ。

KC へぇー。俺も人間関係は深く狭くだったから。特定の人たちと長く仲良くしてたな。今でもつながりはあるし。でも、ちょっとチューしてみるか、みたいなのはなかったよ。笑

あなご&あさき 手をつなぐのはあったけどね。

こみや そこは男の子同士、女の子同士で違うよね。

タカハシ キスまで行くとちょっと性的ですよね。物語だとチューまではいってたか。

KC でもヨーロッパだからな。文化的な違いもあるんじゃない。

あさき でもこれ挨拶的な感じじゃないですよね。中々衝撃的な展開。これ恋愛小説だったら・・・

あなご 少年同士だからね。しかもこの時ハイルナー若干かっこいいんだよね。「まぁ待ちたまえ、そういうつもりじゃなかったんだ」。

タカハシ そっちの訳は「まぁ待ちたまえ」なんですね。

木村KC 待てよ、ちょ待てよ。

あなご ハイルナー絶対かっこいいよ。笑 文芸家、詩人家、空想家。「この根拠のない詩人は、多少甘ったれた憂鬱病に悩んだ」この憂鬱病の描写がいいんだよね。魅力の描かれ方が良い。

タカハシ この辺ハイルナーはやや片思い的な感じもしてきますよね。

こみや ハイルナーが奔放に振る舞っているというか、ハンスだけが理解者なのかな?って思った。

タカハシ ハンスは特別だと思ってるけれど、ハイルナーはそうでもない。実は依存してるのはハンス側かもしれませんね。

KC 最後の方に出てくるエンマとの関係性もそうだよね。ハンスが振り回される。

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タカハシ 不思議なもんで、ボクは男同士で恋バナってしないんですよね。こっぱずかしいし、関係に色恋沙汰は持ち込みたくない。

あさき わかる気がする。いつもしている哲学的な話に、世俗的なものを持ち込みたくないみたいな。

KC その通りだな・・・お茶もらっていいすか?

あなご ハンスとハイルナーは恋愛の話してたよね。ハイルナーの方が進んでるんだよね。何歳だっけ、13歳?ハンスはやっぱり少し遅れてるんじゃないかな。

こみや 遅れてるし、あと自らに枷をかしつづけてる。凄い真面目な子供。受験生に読ませたいこの本。その枷が外れたときに、どこに頼ったらいいか分からなくなっていく。

あなご 自分からじゃなくて、相手から求められてるから。禁欲的にもなっていくし、誰かに依存せざるを得ない。

KC 草食系っていうか、なよなよしすぎだよな。俺の仲良い友達がこんな感じかも。

こみや 僕はこの本を自分のことのように読んでた。大学の受験生時代の自分とか、序盤の勉強に楽しさを見いだしてたりとか、周囲の期待とか、そういうところは共感してた。

あなご&KC へぇー。これに共感できるってすごい。私いっさいなかったわ。周りの期待とか。

タカハシ でもプレッシャーはあったんじゃないですか。言葉にはならないけど、どこかで感じてしまうような。自分の思いこみとか自意識も含まれると思いますけど。

あさき 多分それは言わないんだけど、子どもながらに感じてしまう。

あなご へぇー。自分自身にかけるプレッシャーはあったけど、周りからっていうのは私はなかったなぁ。

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タカハシ 教育もまた大きなテーマなんですよね。これ。

こみや 俺は真っ先にそれが来るかなと思ってた。ヘッセ自身の主張が凄く強く表れてる。あざといくらい。そのあざとさは好きじゃないなぁ。主張が強い。受験とか、少年に色んなことを課すことに対する反対とか、それを強く感じた。淡々とした小説と言うよりは、ヘッセの恨み辛みを感じた。

あさき 自分について書いてるからじゃない?

こみや 後書きみたら自伝的って書いてあるし。

KC でもこれって、ハンス自身の性格的な問題もあるような気がする。なよなよ症候群。

タカハシ でもそのなよなよ症候群も、環境によって変化したんじゃないですか。結局、釣りをするような無邪気な少年であったハンスが、周囲からの重圧によって変質していった。元からそんななよなよしてなかったんじゃないかって。

こみや むしろ遊んでるときは凄く生き生きしてるし、ちょっとゾーン入ったみたいな、勉強に熱中してるときとかも生き生きしてる。でもそこから外れたときに、初めてなよなよするんだよね。

KC 成る程。

あなご 私は初めて読んだときに、進学塾の指導をしていたんだけど、その時来てた子がハンスみたいな感じだった。結局受験は落ちちゃって、落ち込むかなぁと思ったんだけど、「やっと遊べる!」って凄く喜んでて、泣きそうになった。受かることよりも、受験が終わったら遊べる。それを我慢してた。ハンスのお父さんが圧搾機を使うんだけど、圧搾機で搾り取られるリンゴを見ているような気持ちだった。

こみや 出てきたジュースは誰が飲むのか。

タカハシ それ凄い。笑 確かに中学受験は狂気でしたね。ボクも週6で塾行ってたなぁ。模試受けて帰ってくる偏差値が全て。

あさき 私それ途中で辞めたわ。姉が行く流れでだったけど、途中で時間の無駄だと思った。

あなご あさきちゃんはそこに意志があったから、それはハンスとは違うね。

KC 俺は小学受験だったよ。凄く落ちこぼれだと言われてたらしいけど、なんだかんだ受かったから驚かれたよ。隊列組むのとか、できなかった。

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(この後KC&タカハシの野球部に対する妬みそねみ、KC所属のテニス部が超強いのと、顧問の独裁政権の話)

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こみや スポーツ以外であっても優劣がつくよ。俺は吹奏楽部だったけど、やっぱり優劣あったし。教育の現場ってたいていそうだと思う。ところでたしか受験の話からここまできたけど。

タカハシ そうですそうです。点数主義しんどい。

KC いや、でも俺は大学受験悪くなかったけどね。周りのプレッシャーじゃなくて、自分の意志でできたし。

あなご 分かる。私も自己決定できた。大学選んで、自分で勉強してっていうのは楽しかったな。こことここ受けるよーって。

あさき そこまで年齢がいくと、自分の意志ですからね。でもお受験は、親の意志。

KC そこがハンスとの違いではあるよね。

あなご ハンスが高等学校に行きたいとか言い出したら、(お父さんから)ぼろくそに言われるところあったよね。

あさき お父さんひどい。

あなご そうお父さんは最後の描かれ方もひどくて、最後ハンスが死んでるのに鞭まで用意してて、エグいなーと思った。なんていやな父親なんだって、読者に思わせるような感じ。

KC あー、成る程。でも俺はどちらかというとハンスと比べるとパンピー的な立ち位置の印象を受けたけど。

タカハシ 確かにパンピーではあるんですけど、まっとうな道を歩んできていない。だから俺には行けなかった道を息子に行かせたいっていう、分かりやすい教育パパですよね。

こみや それは全て自分のためだよね。小物感がある。

KC あの村のやつらみんな小物だったよなぁ。大物いなかったなぁ。

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こみや あと最後ハンス死んじゃうのにびっくりした。

タカハシ 自殺なのかなんなのか分からないけど死んじゃいましたーみたいな。

こみや でも自殺ではないと思った。死ぬ理由があんまりない。

あなご でも最後のほうで帰りたくないってところあったよね。でも分からないとも書いてあって。草の上に寝っ転がったら、次の描写が川の中なんだよね。

あさき 一瞬え?ってなりましたよね。

こみや ハンスのテンション的に、一生懸命勉強して、学校はいりました、挫折してやめました、で、労働者の道に入りました。どちらかというと上がり基調だったんだよね。だから最後に死ぬのが意外だった。

KC ね!ハッピーエンドで終わるのかなと思った。そう思いきやみたいな。

あさき いや、でもこれは最初からここに向かっていた気がする。始まったときから。

あなご うん。描写の仕方がね。最初っからそのニュアンスだった気がする。

あさき もしこの物語がハッピーエンドだったら、お母さんが出てきたと思う。実際のヘッセにはお母さんがいて、これは自叙伝みたいに書いてあるけど、決定的な違いは小説ではお母さんが死んだことになっている。お母さんがいたら何かしらの救いになったんじゃないかなって。

KC あー確かに。確かに!

あなご 登場人物の周りの大人が全員男なんだよね。それがきつい。

タカハシ 確かに!気づかなかった!!

あさき 女が出てこないんですよね、エンマ以外に。

あなご だからヘッセが書いていたように、愛着が育ってない。愛されたっていう記憶がない。

こみや そうだね。だから落ち込んだときにも誰にもすがれない。

あさき だからハンスは割と死ぬべくして死んだ気がする。

あなご ここで死んで良かったなって気もする。ハンスはこれ以上生きていても、もっと苦しいし、死に時だったかな。母性がないってきつい。

あさき もし女性が出てきていたら、ハイルナーのカリスマ性に変わるモノが母性だったかもしれない。でもこの天真爛漫なハイルナーに引きつけられてしまった。

あなご ハンスは影響受けやすいからね。入れ物みたいな人物だから。ハイルナーにはハンスをどうしようとか、母性的なものがなかった。誰も育ててくれない。読むのホントきついよなぁ。私色んな子どもが目に浮かんできてしまって。

タカハシ そういえばエンマも、急にいなくなったんですよね。そこでちょっとこれは、っていうのはありましたね。

KC ちょっとにおったよね。あ、これはちょっとまずいって。なのにね、そこから最後復活の兆しが見えてたのに。しかもアウグストとか、周りの人からも受け入れられてたし。

あなご でもエンマにとっても、ハイルナーにとっても、ハンスとの関係って遊びじゃん。いつも偏っていて。かわいそう。片思いで報われない。

タカハシ でも報われないのも、周りの人が悪いのかっていうと、それだけじゃない。ハンスの接し方にも責任はある。でもそれはさらに元をただせば、ハンスに対してだれも母性を与えていないっていうのがあるのかもしれないですけど。

KC でも正直なぁ、ちょっと甘いよね、ハンスはね。

あさき 厳しいですね。

あなご どーゆーこと!

KC だってそんなにへこたれるほどの話じゃないじゃん。受験頑張って、神学校通って、落ちこぼれて帰ってきて、ってだけじゃん。そんなに落ち込むような話でもなく無い?

タカハシ でもハンスまだ13ですからね。一年足らずの話です。

こみや 同じ設定で、主人公KCバージョンとかで読んでみたらまた違うかもしれない。

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あさき ハンス、最初は唯一プライドを持てるモノが勉強だったけど、それも失ったら、もう何もないですよね。

あなご 勉強以外何もなくなると辛いよね。勉強しか取り柄がないと特に。

こみや 遊びもどこかで捨てたんだよね。

あなご 大学にも結構いるじゃん。大学行ったけど、勉強だけしてて、就職失敗して大学院にいって、そこからは出て行かないっていう。

KC 入院患者(注:この「院」は大学院の院)みたいだな。

あさき それって学問が好きでそれを研究したくてっていうわけじゃなく?

タカハシ そういう人は突き抜けてないんですよね。問題を先延ばしにしてるだけなんです。

KC そう、なんかね努力してるのは分かるんだけど、そもそもの着想がねー。これだけ時間かけたならもっと良い論文出来るだろってねー。

あさき それ誰の論文?笑

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あなご ハンスは友達ができないタイプだよね。

KC いやでも後半はいたよね。アウグストとか。

タカハシ あれは同僚のレベルですけどね。

あさき アウグストはかなりいいやつですよね。私もハンスとはあんまり友達にはなりたくない。

あなご 工場労働者って、あんまり友達を選ばないかもね。神学校の人と比べると、誰とでも友達になっちゃう。

あさき 言葉じゃなくて、やってる仕事で示す感じですよね。

タカハシ 確かに工場労働者にはみんな同じ仕事をしている一体感がありますよね。肉体的なものであればあるほど。デモとかもそうですけど、全員でいる、同じことをする一体感。

こみや 野球の外野席とかも似てるかな?祭り的な。

タカハシ そうですそうです。音楽のライブとかもそうですよね。観客に手拍子を求めたりとか。同じ動作をするってことは一体感を得る上で大きい。だから昔の工場労働者の方が、ストライキとか激しかったと思うんですよね。だからまた戻ってくるんですけど、スポーツの一体感ってやっぱり強い。

あなご 私が教員になってみて思うのは、スポーツって頑張りが分かりやすいんだよね。野球部はみんな坊主だし、みんなで一生懸命練習して、いい子たちだね!ってなる。サッカーとロックバンド見てるけど、ロックバンドの方は頑張りを評価しようがない。サッカーの方が頑張りが目に見えやすくて、可愛く見えてしまう。

KC やっぱりスポーツ少年の方が愛されるんだなぁ。

タカハシ 間違いないっす。

あなご 芸術系の子たちは比べると褒めてすぐ伸びない。それも好きだけどね。褒める、馬鹿にしてんのかな、ってなって、違う方向行くみたいな。

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タカハシ 今全体総論っぽくなってますけど、細かいところで気になるところありますか?

こみや 俺はぜひ、ルチウスの感想を聞きたい。

あなご あー、ルチウス!!

KC 誰だっけ?

あなご 私がルチウスで好きなのは81ページだ!こういうみみっちい子大好き。

タカハシ ああ、角砂糖取っておいたりとか、タオル人の使ったりとか。無料だからバイオリンもやっちゃえとか。

KC え?そんな評判いいの?ルチウス。

あさき いや、良い奴ではないんだけどけど、なんだろう、人間くさい。

KC バイオリン、クソ下手な奴ね。

こみや ドラえもんのしずかちゃんってバイオリン下手だったんだっけ。これって音楽が下手なことの、凄い象徴的なものなんだろうなって思う。

あなご 私が小学生の頃、友達のバイオリンをその子の家で聞かせられたことあるけど、二度とその家行かなかった 笑

こみや 男子校ってどんな感じだった?って聞かれたら、ルチウスがみんなの前でバイオリンを弾かせられるところあるじゃん。あれが俺の学校は日常的な感じにあった。カラッとしてる感じ。純粋に馬鹿やるって感じ。

KC 確かに、ここに出てくるよりも、もっと軽い方が多いよね。

タカハシ やっぱり男同士と女同士って違うんですかね。

こみや 例えば球技大会で、馬鹿やったとしても、笑えるからいいやって。女子がいないから、見栄を張る必要もないし。

KC 確かに。女子がいるといないじゃ大違いだわ。それホントあるよ。だってちやほやされてるのを見ると、いいなーってなるよね。

タカハシ なりますなります。めっちゃ分かりますよ。

あなご そっかー。女子校では女子にモテたいんだよ。で、不思議と女子の中でも男性の役割を果たす子が現れてくる。で、私もそっち系だったんだけど、演劇部とかミュージカルって男性の役が出来るから、凄く人気があるの。

こみや そうやって自然となりたい人が出てくるものなんだ。

あなご 中学とかで馬鹿やってる人って男子が多いじゃん。女子校では、それが自然と現れるの。悪ふざけをして、女の子が笑ってくれたのが嬉しい。で、どうやってこの学校で一番、面白い奴になれるか!みたいな。私はのし上がったけどね。

KC のし上がったんだ!!笑

あさき 女子の人気の方が嬉しいですよね。

あなご そう嬉しい!なんか女子って色々くれるからー

あさき そういうことですか?笑

あなご いや、バレンタインもいっぱいくれるし、文化祭にも一杯来てくれるし。愛の報酬がいっぱい目に見える。

KC 確かにそれはそうかもしれない。女子の方が盛り上がってくる感じあるよね。

あなご 女子の方が愛情表現が分かりやすいんだよね。

タカハシ ちょっと関係ないですけど、大学の頃ボクがノートを貸したら、男子は何もないんですけど、女子からは大概お菓子がついて返ってくるんですよ。で、男性同士の友情が文学的にも美しいと語られるのは、物で媒介されていないって所がある気がしていて。男性は言葉で言わなくても分かって欲しいとか、プレゼントも基本は男性が女性にする、女性側が欲しがる物っていうのも、そういう感じ。

あさき 確かにプレゼント用のものって、女性用の物の方が多いですよね。言葉で言わなくてもわかるもの?

タカハシ 言わなくても分かるっていうか、分かって欲しいなって思ってしまうんです。女性の方がその点やっぱり分かりやすいんですよね。

こみや じゃあもしこの主人公が女子で、場面設定が女子学院みたいなところだとまた違った感じになるかな。

あさき 多分女子はハンスみたいな育てられ方をしても、ハンスみたいにはならない。強く生きていくと思う。

KC え、そういう感じ。むしろこういうのが当たり前っていうのではなく?

あなご 私男子では似たような子どもが思い浮かぶけど、女子ではあんまり思いつかない。同じような状況でも、自我が強いから。行動に起こすし、メッセージを発する。

あさき こういう風に美しく死んでいくのって少年ですよね。少女ではない。

あなご 女だったら死ぬ理由がないよなぁ。

タカハシ 男は弱いという。

あなご 私なんで男の子は弱いんだろうって、思ってた。

あさき あー私も思ってたー。

タカハシ どうしてなんですかね。突き詰めてくと、出産を経験しないとか、女だけでも社会は回るとかもありますよね。

こみや 昔俺の研究室にいた女の子が、なんで男の子っておなか減っただけで集中力落ちるんだろうって嘆いてた。その子はこつこつとやれるタイプで、感情的な波はむしろ男子の方が大きかったかもしれない。

あなご 男の子ってすぐぽきっておれるよね。

こみや あと折れた瞬間が分かりやすい。

タカハシ すぐ折れますからねー・・・

あなご あとこういう小説って基本的に男子だよね。

KC こういうので一番典型的なのは、エヴァンゲリオン。なよなよした主人公が出てくる。あと、村上春樹の海辺のカフカとか?

タカハシ あれはむしろ父殺しですかね。

こみや あの男の子は立派だったしね。

あなご あとはやっぱり太宰とか。人間失格。

KC 太宰の、なよって同じかな。

タカハシ 近いと思いますよ。あと女性の強さ。斜陽とかに出てくる。

こみや じゃぁなんで女性は強いの?

あなご 痛みに強いんじゃないかな。

タカハシ 根源的ですね。

あさき 肉体的にも、精神的にも、どっちも強い。

KC なんだろ、女の場合は過度な期待をしないんじゃない?文化的に抑圧されて育てられてるから。男だと、勝手に舞い上がっちゃう。天井がないから。俺天才!ってところから、その現実を見たときにぽきっと折れやすい。

あさき 大丈夫?その議論?

こみや 自分以外の評価基準に、順応するかどうかってはなし?

タカハシ んー、凄く一般論に戻して言うと、女性がバリキャリで働いていくことって、実はフェミニズムとしては矛盾しているって話があって。男性と同じキャリアを積んで、そこに合わせていくことは、その前時代の女性の価値、家庭を守るとか、母性とか、そういうものを捨てて男性よりになるという点で、矛盾している。何かそういう所と似てますかね?

KC あー、そういう解釈もあるか。つまり男性、は大きな社会システムの中で、歯車として組み込まれているから、そこからはずされてしまうとどうしていいか分からなくなる。でも女性は、家庭を持っていなきゃいけないから、ある種自立していなければならない。だから、自分を持っていなければいけないし、ぽきっとは折れない。そういう解釈はあるよね。

あなご 確かに、退職した後の男性って、すぐ死ぬじゃん。

KC そんなピクミンみたいな弱さあった?笑

あなご 女性は退職した後も、生きる支えを失ったみたいな人は少なくて、男性は社会の歯車ではなくなったときに、意味を見いだせなくて死んでしまうみたいな。

KC 確かに。大企業に勤めてたりすると、そこから外れたら、人生の意味をなくしたみたいな人は多いと思うよ。

こみや でも、男も女も社会のシステムに入る前から、そういう傾向があるっていう話なのかな? 仮に自分自身に核がないような子どもが生まれるのは元々男の子で、女の子は、そういう核みたいなものを持ちやすいのかな。

KC いや、遺伝的な話ではないと思うけどね。ヨーロッパとか北欧とか行くと、女性も男性も同じように自立しているし。

タカハシ それってでもどうなんですかね。元来、狩猟採集をしていた頃、圧倒的に狩猟は男性の方が出来たし、みんなで協力して狩りをするっていうところは、父親が外に働きにでるってところと、システム的にはあんまり変わっていない。

KC でも労働の質が変わってきてるわけじゃん。頭脳労働の時代だから、力が強いとかは関係ないし。

あなご いや、だから根源的に持っている特性みたいなものは、反映されてきたんじゃないかな。

タカハシ 頭脳労働には変わってきたけど、ここ100年の話であって、そもそもそんなに早くは変わらないって言うかーそもそもこれってなんの話でしたっけ?

こみや そんなロジカルな説明を求めているわけではなくて、こういう風に自分の核を持たない男の子が多いのはなんでかな?ってそれだけ。KCとタカハシくんは説明として、社会から逆算して話をしてるけど、そもそも社会はどうでもいい。

あさき もう少し社会に入る前の、決まっている、というか。

こみや そうそう。さっき男の子には母性が大事ってあったけど、それに対して仮に女の子に母性が与えられなかったとしても、それを補完していけるのかな?

あさき それは母性なんですかね。

あなご 女の子は外に出ていけるのかもしれない。母親的な人を、外に見つけられるのかもしれない。

こみや 女の子にも母性が必要だって所はかわらないのかな?

あさき もしお父さんが、母性に変わる物を持っている人だったら、お母さんがいなくても大丈夫だったのかもしれないけど。

KC 母性本能を持ってるお父さんって、なかなかいないよね。

あさき 母性本能っていうのとはちょっと違うんだよね。

こみや 男の子にとって、母性に値する何か。

あさき そうそう。多分、尊敬できるお父さんでもなかったし。

KC 恵まれなかったんだねぇ・・・

あなご それでまとめですか。笑

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初めてログを書きました。誰しもが自らの一部を、あるいは過去を重ねて読むことの出来る小説だなと、改めてそんな印象を持ちました。教育、友情、親子関係など、様々なレイヤーから話が成り立っていて、その全てが必然性を持って、ラストシーンのハンスの死、つまりは『車輪の下』に集約されていくのは本当に見事です。
次は合宿です。わくわく。
タカハシ

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